2023-01-01から1年間の記事一覧

西郷隆盛紀行 (朝日選書 (280) 1985/橋川 文三 (著) 朝日新聞社

明治維新に興味がある。だからこの本を読んでみた。特にある期待を込めてこの本を開いた。というのは、橋川文三という人は日本人の知識人の中でも珍しく、唯一の?「黄禍物語 (岩波現代文庫) 2000」という欧米白人勢力との人種差別に的を絞った本を書いてい…

九州の先住民はアイヌ 新地名学による探究 著者:根中治 葦書房 1983年

とにかく、異色の経歴を持つ著者である。内容も面白い。明治42年、福岡生まれ。九州電力総合研究所にて、天然ガス、地熱発電、地下水、温泉等の研究に長く従事。その長い探査の結果、九州にアイヌ起源と思われる地名を数多く発見。本書を執筆。あのカルタ…

謎解き「張作霖爆殺事件」 (PHP新書) 2011/加藤 康男 (著) 「張作霖爆殺事件」は、関東軍の仕業に見せかけたコミンテルンの犯行の可能性が強い

昭和三年六月四日早朝、満州を支配していた奉天派の大元帥・張作霖は、北京から奉天への帰路途上、乗車していた列車が爆破炎上して暗殺された。満州事変のきっかけとなったこの事件は、戦後、本人の自白をもとに関東軍の高級参謀河本大作による犯行との説が…

『菅江真澄遊覧記』全5巻、内田武志、宮本常一編訳ワイド版平凡社東洋文庫、2003-2004年。菅江真澄という江戸時代の紀行作家を知っていますか。

菅江真澄という江戸時代の紀行作家を知っていますか。天明3年(1783),30歳で故郷三河を出発し,信州から東北・北海道までを巡歴,後半生を旅に送り秋田で没した稀有な旅行者が,常民の生活と民俗をつづる遊覧記。 菅江真澄は相当な変わり者だったらしく、生…

饒速日・物部氏の原像 加古樹一 集工房ノア 平成4年刊 371p あなたの身近にある驚異の世界

これは地味な本だが(アマゾンで検索してもタイトル、著者ともにでてこない)、内容は驚くべきものがある。私が知りたくなったまさにそのことが書かれてある。大正10年生まれの、兵庫県高砂市議会議員であったらしい。6期務めたと巻末の略歴にある。 姫路…

その実像をもとめて 「南京事件」の探究 (文春新書) 2001/北村 稔 (著) 無論、私は南京事件「まぼろし派」である

ほぼ20年前の本である。いま南京論争というのがどうなってるかは知らないが、これと、一次史料が明かす南京事件の真実―アメリカ宣教師史観の呪縛を解く 2020/池田 悠 (著) 展転社を読めば南京事件に関する理解は深まるだろう。この2冊だけ読めばいいとす…

キーワードで読み解く北朝鮮体制(レジーム)の起源とその行く末 藤井非三四/著 国書刊行会 2019.10

北朝鮮の誕生から現在までを達意の筆で描いている。北朝鮮に関してはまったく知らない国だったので非常にためになった。中でも興味をそそられたのは、金日成主席の正体に関することである。ソ連が連れてきた影武者説というのは薄っすらと知っていたが、4つ…

韓国が「まあバレないだろう」と思い、国際スイーツ大会で日本のエントリーを壊してしまった結果、すべてが露見し、巨額の賠償金を支払う

【海外の反応】韓国が「まあバレないだろう」と思い、国際スイーツ大会で日本のエントリーを壊してしまった結果、すべてが露見し、巨額の賠償金を支払うことになり、報復の大ピンチに陥りました。海外の反応ゆっくり解説ch チャンネル登録者数 1.3万人5,286 …

新史談民話 田中香涯 東学社. 昭和9 「上古時代における女性の優越」

昔からこの人の本が好きで読んでいる。猟奇的な事件、変態性欲などに真価を発揮する。「変態性欲」という雑誌まで創刊した(笑)、大阪生まれのれっきとした医者である。 殺生関白・豊臣英次の性格、日蓮を抉る(宗教性偏執病者)、妾に関する話、など面白い…

嘘だらけのヨーロッパ製世界史 2007/岸田 秀 (著) 新書館

最初の人類は黒人で、アフリカに発生したと一般に考えられている。何万年前かは知らないが、黒人から白子(アルビノ)が大量に発生した。この白子は、毛色が違っていたので、黒人から差別され、疎外され、肥沃なアフリカの地から北へと、貧しい寒冷の地、ヨ…

カルタゴ―消えた商人の帝国 (現代教養文庫) 文庫 1987/服部 伸六 (著)社会思想社と、日米の悲劇―“宿命の対決”の本質 (カッパ・ブックス) 新書1991/小室 直樹 (著) 光文社

これは、ロシアがウクライナ戦争に負け・北方領土が返還され、中華人民共和国が分裂した後に起きるかもしれない最後の日米戦争に関する随想である。 ローマとカルタゴ……この2国間の関係を日米関係になぞらえる本が昔から多い。本書、カルタゴ―消えた商人の帝…

福沢諭吉の真実 (文春新書) 2004/平山 洋 (著)を批判的に読む 日本の歴史から、「長崎事件」が消えている!!!

日本の文明開化を先導した偉大な思想家福沢諭吉は、アジアを蔑視し中国大陸への侵略を肯定する文章をたくさん残している。それを理由に福沢を全否定しようとする動きも絶えない。確かに現在も刊行されている福沢の全集にはその種の文章が多数収録されている…

努力論 (岩波文庫) 2001/幸田 露伴 (著) 「生年月日の数字を研究し続けて、ようやく把握することができた私の運命観は、「人生は何事も時期である」ということであった」金子 彰生

何をもって幸福とするのかという難問があるが、私が今まで読んできた中で最良の「幸福入門書」だと言えるかもしれない。根底に老荘思想がある。 全部すごいが、いちばん私が感銘を受けたのは、中での「分福論」である。誰しも一度は、この時は何をやっても好…

縮みゆく人間 Kindle版リチャード・マティスン (著), 吉田誠一 (翻訳) 早川書房 1956

久々に再読して感動を新たにした。しばらく、お付き合い願いたい。あのスピルバーグ監督のデビュー作「激突」(1971)の原作者でもある。ゾンビものの嚆矢でもある傑作、「I am regend 吸血鬼 地球最後の男」もほぼ同じ時期1954年に書かれている。 核実験に…

全国日本部落史料 菊池山哉著 1981/八切 止夫 日本シェル出版 八切止夫という作家を知っていますか?

八切止夫という作家を知っていますか。作家として戦国時代を独自の視点で描いて、けっこう売れたらしい。その儲けを投入して自分で出版社を築地かどこかへ作り、戦前に出版禁止になったものを次々に自分の独自解説をくっつけて復刻出版していった。しかも、…

古代九州王国の謎 (1976年) 神西 秀憲 (著) 新人物往来社

著者曰く、「まえがきより。本書は古代日本の歴史はすべて北九州の中だけにあったという、ひどく怪奇な古代史実を述べようとするものである。……そして、日本の本体だと思われていた本州はまったく無関係の異国にすぎなかったということを述べるのが本書の趣…

奪われた神々―騎馬民族王朝と紀氏の謎 1985/日根 輝巳 (著) アイペック

この和歌山新聞の記者による日本古代史の一連の本は非常に面白い。まず、砕けたわかりやすい文章がいい。こういう方がリアルである。4,5冊読んだが、すべて核心に迫るもの。知られていないが大したものである。 私がこの人の本を高く評価するのは、とりわ…

行政調査新聞:壊れていくアメリカ 崩れさる自由主義諸国:エマニュエル・パストリッチに注目だ!

埼玉県川越市を拠点とする、行政調査新聞というミニコミサイトがある。いつも注目している。ここに載った記事で無視できないものがあった。共有したい。 壊れていくアメリカ 崩れさる自由主義諸国 2023.09.30https://www.gyouseinews.com/3459/%e5%a3%8a%e3%…

帰雲城を知っていますか? 天正大地震(1585年)で滅んだ大名・内ヶ島氏

天正13年(1585年)8月に、佐々成政が羽柴秀吉の侵攻(富山の役)を受け、内ヶ島軍は佐々の援軍として越中に赴いた。羽柴秀吉は同時に、佐々の同盟者である姉小路氏と内ヶ島氏の拠る飛騨国の攻略を金森長近に命じた。しかし頼みの佐々成政が秀吉の大軍の前に…

蘇我馬子は天皇だった、日本書紀の秘密、ワカタケル大王の秘密 石渡信一郎無残!

本を整理していたら、石渡 信一郎の懐かしい本が次々と出てきた。しばし読みふける。いろいろ感じることがあった。読書のだいご味は再読にある。とくに日本古代史についてそれは言える。特に取り上げるのは以下の3冊。 日本書紀の秘密 1992/石渡 信一郎 (著…

これまでの人生で最も怖かったこと

あれは小学校2年生の時、今から云十年前のことである。舞台は夏の北海道のある町。その日、われら仲良し4人組は、遠足だったかマラソン大会だったか、体育祭だったかは忘れたが、てくてく家路を急いでいた。時刻は15時ころ。 すると、川田君が学校に忘れ…

戦後日本は戦争をしてきた (角川oneテーマ21) 新書 2007/姜 尚中 (著, 原名), 小森 陽一 (著) 「迫りくる難民7500万人発生の恐怖…」

「平和国家」という幻影を排す! 知られざる戦後ニッポンの戦争史憲法九条の下、「戦後日本」はずっと平和だった……?護憲派を代表する二人が、あえて「平和国家」神話を問い直す画期的対談!「テロ」「戦争」の時代に日本はどこへ行くべきか。本当の「平和」へ…

天海・光秀の謎―会計と文化 1993/岩辺 晃三 (著)税務経理協会 「天海・光秀同一説」 大いにあり得ると思ってる…

この埼玉大学の教授は会計専門の人で、日本史は専門ではない。ただ、この人のいう「天海・光秀同一説」は根拠がありすぎると今回取り上げた。注目したいのは、岩辺氏の本ではほとんど触れられていないが、初期徳川幕府を支えた人たちの、明智光秀人脈とでも…

無条件降伏は戦争をどう変えたか 新書 2004/吉田 一彦 (著) PHP研究所

「無条件降伏」とは何を意味していたのか。第二次大戦中の米国中枢部の思惑と、敵味方入り乱れての駆け引きを多彩なエピソードで綴る。第二次世界大戦最中の1943年、カサブランカ会談において、アメリカ大統領ルーズベルトは日独伊に「無条件降伏」を突きつ…

文字逍遥 (平凡社ライブラリー) 文庫 1994/白川 静 (著) 漢字はその構造のうちに、古代の人々の思惟や生活の仕方を豊かに伝えている。想像を絶するほど広大な漢字の歴史世界をはるかに見渡し、そこに隠された精神史の諸相を鮮やかに捉えた達意のエッセイ集。

白川 静先生には、本当に感謝のほかない。先生に巡り会えて、例えば、真という字にかような意味があるとは、といったことを考えるようになった。 白川先生によると、真という字は、行き倒れの死人を本来表していると。さいしょに読んだ時の衝撃を忘れられな…

もう隠せない 真実の歴史 世界史から消された謎の日本史 2023/8/17武内 一忠 (著) 今こそ、酒井勝軍に注目だ!

シュメールもエジプトもユダヤもケルトも――世界史の民はなぜ海洋民族ラピュタと共に縄文日本に結集したのか⁈なぜ巨石文明の遺跡が日本列島から続々と発見されるのか⁈ 日本列島は先進文明の証拠群そのものであった!真実の日本の歴史では、日本は世界の中心に…

韓国の悲劇―誰も書かなかった真実 (カッパ・ビジネス) 新書 1985/小室 直樹 (著) 光文社 「迫りくる難民7500万人発生の恐怖…」

尊敬する碩学・小室直樹氏の著書である。新書レベルとは思えないほど内容豊富でかつ、核心に迫っている。見事である。韓国でも翻訳されてベストセラーになったとのこと。さすがは小室直樹御大と感じ入った次第。 内容はいいのだが、はしがきに私が大いに引っ…

検証 ナチスは「良いこと」もしたのか? (岩波ブックレット) Kindle版小野寺 拓也 (著), 田野 大輔 (著)

「ナチスは良いこともした」という言説は,国内外で定期的に議論の的になり続けている.アウトバーンを建設した,失業率を低下させた,福祉政策を行った――功績とされがちな事象をとりあげ,ナチズム研究の蓄積をもとに事実性や文脈を検証.歴史修正主義が影…

水田と前方後円墳―巨大前方後円墳はなぜ突然現れまた消えていったのか 2018/田久保 晃 (著)(株)農文協プロダクション

3世紀、奈良盆地に出現した前方後円墳は、権力者の墓とされているが謎に包まれている。誰が誰のために築いたのか。なぜ、その場所に円形と方形から成る形で築かれたのか。その立地が盆地縁辺部を反時計回りに移動し、さらに大阪平野をはじめ各地に広まってい…

呪われた部分 ──全般経済学試論・蕩尽 (ちくま学芸文庫) Kindle版 ジョルジュ・バタイユ (著), 酒井健 (翻訳)

バタイユはこの本の発刊当時、既存の経済学が経済を論じる際に、特定の地域や共同体について論じるのみで、経済の全般に論じていない点について、不満に思っており、経済全般を論じるにあたって、蕩尽という概念が有効だと述べたようだ。 そして、バタイユは…