2023-05-01から1ヶ月間の記事一覧
近年アメリカでは日本の朝鮮統治に関する実証研究が進み、〝史上最も苛酷な植民地支配〟といった民族主義の視点に立つ〝暗黒史観〟は修正されつつある。米国の歴史学者が10 余年に及ぶ研究にもとづきこれを検証。日本統治下の朝鮮では現実主義、相互主義的で…
高地性集落遺跡については、倭国大乱の時期とほぼ同じ時期(弥生後期の第二期)のものが顕著な形で近畿地方に残っており、これは神武の近畿侵入に対応する可能性がある。森浩一氏は、その争乱の深刻さは自身で遺跡を踏破した人しか理解できないほどで、 昔か…
私は松本清張の方が好きだが、あの、突如、ストーリーから離れて、歴史知識を開陳し始めたり、三人称から1人称に切り替わる、独特な文体。影響力の大きさ、売れ方、司馬遼太郎はまさに国民作家といえるであろう。私は当時を知らないが、まさに吉川英治以来と…
私にとって、徴兵忌避といえば、「笹まくら」をおいてほかにはない。 笹まくら (新潮文庫) 1974/丸谷 才一 (著)笹まくら…旅寝…かさかさする音が不安な感じ…やりきれない不安な旅。戦争中、徴兵を忌避して日本全国に逃避の旅をつづけた杉浦健次こと浜田庄吉。…
信長の「天下布武」の過程で大きな障害となったのが、各地の一向宗門徒であり、石山本願寺であった。一向宗門徒の殲滅を計る信長に対し、本願寺の顕如は、各地の一向宗門徒に蜂起を指令、かつ武田信玄・浅井長政・朝倉義景・毛利輝元・足利義昭らと“反信長戦…
「不公正な貿易国」「不可解な日本人」-対日非難の十字砲火の中で、日本は何を考え、どう対応したか。両大国間の"自由貿易"時代に、なぜか日本に集中した貿易差別の実態を初めて明かした問題提起の書。 1000パーセント、欧米がわるい… スムート・ホーリ…
アメリカ合衆国の人種法と市民権法が、ニュルンベルク法を生み出した。アメリカがヒトラーのジェノサイド政策に与えた影響を、史料から丹念に掘り起した画期的業績。法と歴史の狭間から、豊富な史料を駆使して、人種法における世界の「リーダー」たるアメリ…
第二次世界大戦時、日本通過のビザを発給してユダヤ避難民約六千人を救ったとされる杉原千畝が、外務省にどのように扱われたかを追究。戦後の外務省が戦争責任を隠し、歴史を偽造してきたという事実を明らかにする。 怒りと冷静さが同居する、なかなかの好著…
文部科学省から国立大学へ要請された「文系学部・学科の縮小や廃止」は、文系軽視と大きな批判をよんだ。自ら考える力を養う場だった大学は、いつから職業訓練校化したのか。教養を身につけ、多様性を受け止める場だった教育の現場が新自由主義の波に晒され…
いまの畿内が古代にどんな有様だったのか、大和朝廷の始まりについて、興味がある。昔からいろいろ読んできて、これは頭抜けてる、これに共感するといった説を紹介したい。 民俗学者の故・谷川健一氏の「物部の東遷・東遷は2度あった・九州遠賀川より」が最…
アメリカは敗戦国をどう「教育」しようとしたのか。日本はどう抵抗し、協力し、受容したのか。第二次世界大戦後の連合国による日本占領期、GHQ民間情報教育局(Civil Information and Education Section 以下CIE)は「ウォー・ギルト・プログラム」を実施した…
出口王仁三郎は信者ではないが、著作にひかれて昔からけっこう読んでる。「霊界物語」も全巻読破してる。よくわからなかったけれど。たまたま最近、古本屋で一冊300円(ヤッターマン、読売新聞版の全集!!)を4冊も見つけたので再読しつつ思うさまを書いて…
福岡県行橋市にある豊日別宮の近くに住む田中了一氏が、これに基づいて4冊の本を書きあげている。見事な推察だ。取り上げてみたい。 「古事記、日本書紀の編纂が行われた頃の編纂側の中臣氏や藤原氏は邪馬台国の位置と、女王卑弥呼のお墓がある場所までも正…
人道的な活動はなぜ戦後補償問題へと発展していったのか。韓国人帰還に献身した日韓夫妻の足跡をたどり、運動の真実を明らかにした力作。戦後史観の歪みを正す。まず何より、この本を書かれた新井佐和子さんに感謝する。 ふとしたきっかけから、「サハリンに…
たった一つの冒頭のセリフを書きたいがためにこれを書いている。 人が命をかけてたたかう時、人の命を絶とうとする時、人間や文化の本性が最もあらわになる。相手を倒すまで、全力をあげてたたかい、相手を傷つけたら、とどめを刺し、敗れたら、刺し違えて相…
操られたルーズベルト―大統領に戦争を仕掛けさせた者は誰か 1991/カーチス・B. ドール (著), 馬野 周二 (翻訳)プレジデント社 こういう鮮烈な本を読むと、いわゆる「歴史修正主義」って何だろうなって思う。おバカな、知らない、分かってない、反日ユダヤ人…
国の債務残高973兆円超。この巨額の財政赤字を前に、これ以上、税のムダ遣いを放置するわけにはいかない。あらゆるムダを炙り出し、税金の使われ方を国民主権の観点から見直す、事業仕分けの実相とは? 二〇〇九年十一月、新政権が設置した行政刷新会議による…
日高義樹氏は昔から好きなジャーナリストである。長くワシントンに住んで、米権力中枢に食い込み、考えさせる生々しいレポートを送ってくれる真の愛国者だと思う。反日の首魁、日本嫌いのエピソードには事欠かないキッシンジャーに、17回インタビューしたと…
第1章と第2章の、吉良家と徳川家の100年にわたる確執は、最大の読みどころ。こんなことを言ったひとは他にいない。 徳川は吉良が目障りだったので、事件発生後、当時、川向う(隅田川)の「僻地」の両国に吉良邸を移転させて、半蔵門でかくまっていた(見て…