グレン・グールドの弾くベートーヴェン:交響曲第5番「運命」は長らく私のベスト愛聴盤である。
特に第2楽章、アンダンテ・コン・モトと第3楽章、スケルツォ アレグロが素晴らしい!
音が際立っている。
この演奏にどっぷりはまっていてもはや、オーケストラ版を聞こうとは思わなくなっている。
長大な第2楽章(14分ある)には、2度盛り上がるところがある。
ひとつひとつのフレーズがまた神がかった旋律の連なりである。
音楽好きの友人から、おすすめのCDを聞かれ、グレン・グールドの「運命」をあげて、ピアノ一台で「運命」を演奏するの? という会話を何度したことだろう。
しかし、よくよく考えてみればベートーヴェンは愛用のピアノでこの曲をつくったのだ。
だから、私たちは、ベートーヴェンがこれを弾いていると思えばいいのだ。
58年の生涯で、生涯で50回を超える引っ越しをしたというベートーヴェン。その愛用のピアノは調子外れのホンキートンクピアノに近いものであったろう。
マカロニにチーズをかけたものが大好物だったベートーヴェン
ワインも好きだったベートーヴェン。好きなワインは安物のトカイワインだったベートーヴェン
金銭苦のうえに難聴を患っていたベートーヴェンがあまりいい暮らしをしていなかったのは事実であろう。
とはいえ、名高い音楽エッセイのなかで、特に著名なこの部分に異論がある。
五味康祐 音楽巡礼(新潮文庫) Kindle版1981/9/1
「若者の時代に、ベートーヴェンの第五交響曲「運命」を通るか、モーツァルトのト短調シンフォニーを知るかはその人の育った環境に拠るところ大と、今でも思っている。貧乏人ほど、より「運命」に共感しやすい素地があるのではないかと…」
↑ご自分の貧乏話がおもしろいが、そうではないと私は思う。例えば、政治学者の丸山真男はベートーヴェン(フルトヴェングラー)が特に好きなことが私でも知ってる。
そうではなく、ベートーヴェンの曲そのものが、貧乏、生活苦より生み出されたものと思えて仕方がない。
とくに「運命」の第2楽章はそうだ。
やるしかない、前を向くしかない、そう言っているように私には聞こえる。
ベートヴェン交響曲第5番「運命」 グレン・グールド:ピアノ
関雅行 チャンネル登録者
https://www.youtube.com/watch?v=Llo6oYa1Lrs
ピアノの大作へと変貌を遂げたベートーヴェンの交響曲に、鬼才グールドが挑む。
フランツ・リストは、ロマン派を代表するヴィルトゥオーゾ・ピアニストでもあったが、ベートーヴェンの交響曲を大胆にもピアノ演奏用に自ら編曲し、多彩なオーケストラの音響を1台のピアノで表現することを可能にした。20世紀カナダの鬼才ピアニスト、グレン・グールドは、こうしてピアノの大作へと変貌を遂げたベートーヴェンの交響曲第5番「運命」を1967年から68年にかけて録音、話題をさらった。
グールド:弦楽四重奏曲/ワーグナー:ジークフリート牧歌 他 グールド(グレン) (アーティスト, 指揮, 演奏), & 4 その他 形式: CD 2007/11/7
Beethoven/Wagner: Symphonies N Gould, Glenn (アーティスト) 形式: CD 2012/8/28
ジークフリート牧歌 グレン・グールド
Wagner - Siegfried Idyll - Glenn Gould transcription
https://www.youtube.com/watch?v=FIjesjmMq_g