あれは小学校2年生の時、今から云十年前のことである。
舞台は夏の北海道のある町。
その日、われら仲良し4人組は、遠足だったかマラソン大会だったか、体育祭だったかは忘れたが、てくてく家路を急いでいた。
時刻は15時ころ。
すると、川田君が学校に忘れ物を取りに行くと言い出した。
学校はちょうど帰り道の高台にある。
岡田君がオレもついていくと手を挙げた。
けっきょく、ぼくと山田君は学校の玄関の外で待つことに。
川田君と岡田君が教室へ忘れ物を取りに行った。
玄関といっても、全国どこにでもある壁いっぱいの大きな靴箱がある広い間口の玄関である。
教室は1階にあって、20メートルほどの距離である。
すると、1分ほど経った頃、二人が駆けて戻ってきた。
「…黒い、球が、いま、ドロップして消えたんだ…」
と、二人が血相変えて話すではないか。
野球のボールくらいの大きさの黒い球が、廊下の曲がり際で、二人の前に、目の高さくらいをすごい速さで飛んできてドロップして消えてしまったと。
二人の話にウソはない。
それは、はっきりしてる。
二人で見てるとこがポイントである。
あれはいったい何だったのだろうかと、近頃思い返すことが多い。