物理学者が解き明かす邪馬台国の謎 卑弥呼の本名は玉姫であり、邪馬台国は太宰府にあった 2022 下條竜夫 (著) 秀和システム

「鬼道」とは「シャーマニズム」にあらず、「道教」である。

2022年11月18日に日本でレビュー済み
魏志倭人伝」の新解釈について書かれていて、非常に興味深かったです。
私は「邪馬台国は元々、筑後平野〜日田盆地の辺りにあったのではないか?」と考えていたのですが、「邪馬台国の中心が大宰府にあった」という筆者の解釈は斬新かつ、面白い。確かに「そもそも大宰府政庁(都府楼)とはなんぞや?」「白村江以前、大宰府には何があったのか?」といった疑問も、「そこが邪馬台国の中心だった」ということであれば腹落ちします。


卑弥呼の鬼道とは、魏の五斗米道である。
単なる土着シャーマニズムではない。

 

↑著者・下條竜夫氏が、本書で言ってることである。


賛同できない点は多々あるが、そこに気づいたかと大いに評価したい。

天皇という言葉も、神社も、神道という言葉も、2世紀の中頃、後漢の順帝の時代の「太平経」に残っていると。

 

道教と古代の天皇制―日本古代史・新考 1978/福永 光司 (著), 上田 正昭 (著), 上山 春平 (著)徳間書店


松本清張の、一大卒についての所論。
魏の命令を受けた帯方郡より派遣されてきた女王国以北の、それは中国直々の機関ではないかと想像し、だからこそ恐れられていたのではないかと再三述べている。
面白いがこの説の欠点は、記録マニアのシナ人が、そんな重大なことを記録しなかったのはおかしいということだろう。


「一大卒」という単語を、中国のすべての文献を渉猟したうえで、それは「墨子」のなかにあると発見した重松明久がなぜ無視されているのだろうと不思議になる。
しかも、墨子とその発展形である、中国道教の影響、五斗米道についても気づいて詳しく書き留めている。

 

 

tennkataihei.hatenablog.com

 

2023-12-26
孔子伝」(白川静)における、第4章「孔子の批判者たち(墨子)」、及び「古代国家と道教」(重松 明久)1985における、「大卒」発見について

前から気になっていたことを書こうと思う。
重松明久という半ば忘れ去られた歴史家がいた。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%8D%E6%9D%BE%E6%98%8E%E4%B9%85


九州北部に、大宰府を取り囲むように造られた謎多き神籠石の遺跡のことは知っているだろう。
山口県や四国にまで発見されたが、なぜか、古事記日本書紀には一切記述がないというアレである。
ズバリ、これが卑弥呼の居城ではないかというのが重松明久の説である。

 

とくに福岡県にある御所が谷の遺跡に注目したい。
今でも立派な水門が残っているが、たかが排水のためにこんな立派な水門をつくらないだろう。
私はこの水門で、まじない札と禊の神事が行われていたのではないかと思う。

御所が谷、神籠石という名称も何やら意味深ではないか。
それにこの近辺は、古来より、神代の昔から美夜古(みやこ)と呼ばれていた。

 

大分県出身の重松明久氏が勤務先の広島大学から車で帰省するたび、不思議に感じていたことがあるという。

それは福岡県京都郡(みやこぐん)の名前のこと。
こんな寂れた場所が、なんで京都(みやこ)なのかと。

不審に思って調べてみたら昔から(神代の昔から)、そこは美夜古(みやこ)といっていたことを知り驚く。
そこから、重松氏は邪馬台国豊前一帯にあったとの説を唱えることになる。

 

すでに明治時代に「神代帝都考」(狭間畏三)という名著がある。
古事記日本書紀に出てくる建国神話の部分、地名の重なりが豊前一帯に多すぎるという疑問から本業が医者の地元出身の著者がこつこつと書き上げたものだという。

だから墨子以来の中国道教の影響を一番受けているのが邪馬台国だとする。


著者は、東洋史学者・岡田英弘に影響を受けたという。
しかし岡田英弘の「倭人国家、華僑」論は、いただけない。
岡田英弘は確かに鋭く、私もいづれこの場で取り上げるつもりだった。


岡田 英弘(おかだ ひでひろ、1931年(昭和6年)1月24日[1] - 2017年(平成29年)5月25日)は、日本の東洋史学者。東京外国語大学名誉教授。東洋文庫専任研究員。専攻は満洲史・モンゴル史であるが、中国・日本史論についての研究・著作もある。


ただ、岡田英弘は専門が、女真族、モンゴル民族の、シナ中世史の専門家であり、「妻も敵なり」といったシナ人論、シナ文明論については確かに非凡な冴えをみせるが、日本の成り立ちといったテーマでは首をかしげざるを得ないところが多い。
まず、何より、中国語と日本語は語順が違う。
そこが決定的。

 

 

tennkataihei.hatenablog.com

 

2023-03-07
縄文語の発見 1991 小泉保 (著) 青土社 解き明かされた日本語の謎

本書あとがきより
縄文時代の言語については言語学者国語学者も口をつぐんだままであった。怠慢と言われても仕方ない。それは奈良時代の母親筋にあたる弥生語が
現代日本語の祖先であるという仮説に縛られていたからである。そして、弥生語以前には素性のわからない多様な言語が話されていたが、弥生語によって統一されたと思い込んでいたのである」

この分野、いろいろ読んだが本書が白眉だと思う。
日本言語学会の会長らしい。続編がないのが惜しい。

 

↑わかりやすく言うと、縄文語とは、東北のズーズー弁に似ていたのではないか?

 

その上、著者は物理学者だというが、岡田英弘のさらに上に影響を受けた人として、意外な人物の名前をあげる。
敢えて名前は上げない。

 

私のその人についての評価はすこぶる低い。
「属国・日本論」とか書いてる人だ。4,5冊読んだが、この人は嫌いだ。

権威主義さらに言えば、「隠れサヨク」なのではないか。

 

その人物が、物理学者の著者に、風前の灯の中国共産党の要人が、岡田英弘の「倭人国家、華僑」論に魅了されたということを伝えたという。

そりゃあ、現代のシナ人が読めば、岡田英弘の「倭人国家、華僑」論は自分たちからすれば喜ばしいであろう。
そんな下らない事実を持ち出して、岡田英弘の「倭人国家、華僑」論を持ち上げる、やはりこの人物は信用ならない。