日本の感性が世界を変える (新潮選書) 2014/鈴木 孝夫 (著) 漢字の読み方に日本式の訓読みがあることが日本語を救った…

論争より情緒、対立でなく融和。世界には「日本らしさ」が必要だ。言葉と文化、自然と人間の営みに深い思索を重ねてきた著者が、世界の危機を見据えて語る《日本人の使命》とは? 外国人が日本語を学ぶとなぜか礼儀正しくなる「タタミゼ効果」の不思議や、漢字に秘められた意外な力、そして日本の共生的自然観を西欧文明と対比させつつ、繊細だが強靱なこの国の感性を文明論として考える。

 


前から好きで読んでる著者の集大成的な本である。
1926年生まれ。はじめ、医学部に進んだが言語全般に興味を持ち文学部に転じたとのこと。

毎回、感じるが、自分の意見を述べてから、自分の周りに起きたことを観察してその意見を補強するエピソードが実に多い。
各ページに1つもしくは2つ載ってる。
ここがまず凄い。


「第5章 自虐的な自国史観からの脱却が必要」を読んで、思ったのが、この人は、亡くなった渡辺昇一氏と似たような立ち位置で、同じようなことを言っているが、右派言論人とみなされていない? 不思議なポジションにいるということだ。


本書もいいエピソードばかりで、紹介したいことばかりだが、とりわけ印象に残ったのは著者が、イェール大学で講義したときの話。

 

漢字の読み方に日本式の訓読みがあることが日本語を救った

 

現在、日本語に使われている漢字の大多数には、誰でも知っているように音読みと訓読みという2通りの違った読み方があります。
この音読み訓読みは何かというと、大雑把に言って漢字が、むかし、中国大陸からもたらされたとき、たとえば水という字漢字は、あちらでの発音は「スイ」で、この字の意味するものは日本語の「みず」のことでと説明したのが、この漢字の音と訓として定着したのです。

 

訓がない英語では古典語要素を含む高級語彙は、雲の上の言葉

 

私がこのことに初めて気づいたのは、今から30数年も前にアメリカのイェール大学で「日本語の漢字にはどうして音と訓などという、2通りの異なった読み方があるのか」について、講義を行っていた時でした。

黒板に私が猿人と書いて、その右側に、ピテカントロプスと英語で大書して、話を始めたところ、前列に座っていた学生の一人が、その英語の単語は何という意味かと質問したのです。

私は日本であれば、中学生でも知っていると思われる、人類の祖先にあたる猿人(ピテカントロプス)のことを、アメリカの一流大学の学生がまさか知らないなどとは夢にも思っていなかったので、あわててそこにいた数十人の教授、研究者、そして学生たちに、誰か知っていますかと問いかけたところ、なんと驚いたことに誰も知らなかったのです。


私がすぐ想起したのはこれである ↓

韓国がノーベル賞を取れない理由はこれ ↓

 

■語源への手掛かりを失うハングル  @@使えば使うほどバカになる劣等言語ハングル

▲韓国語では、化学元素H(hydrogen)のことを「suso」という。 

これは漢字で書けば、「水素」で、日本人が作った和製の漢語なのだが、 
私の受けた学校教育の場では、化学用語として、とにかく「スソ」というのだと教えられただけで、 
それは漢字で「水素」と書くのだとは、教えられていない。 
だから、「スソ」は日常世界とは何ら関係する事のない純学術用語以外のものではなくなる。 

▲現在の韓国のように、漢字を排除して殆どハングルだけを使っていると、 
言葉に漢語や日本語のイメージは全く浮かぶ事が無く、語源の手掛かりも失うため、 
全てが固有語であるかのような錯覚が生じてしまう。 

▲しかし、日本語では「水素(スイソ)」という単語を教われば、誰の頭にも「みずのもと・水の素」
 という訓が浮かんでくる。 

そのように純粋な化学用語でも、日常的な和語の世界に抵抗なくはいる事が出来る。 
そのため日本では、韓国やラテン語から引用する欧米のように、学術用語が専門的な教育を受けたものにしか
解らない、日常世界から遊離した言葉になる事も、それほど多くはないのである。 
日本的精神の可能性、呉善花より http://toron.pepper.jp/jp/syndrome/jpnhan/youchika.html 

 

2014/10/14 東亜【朝鮮日報/コラム】追い越せる日本、追い越せない日本…ノーベル賞受賞歴に見る韓国と日本の距離[10/12]

2014/10/16【韓国】 なぜ日本はノーベル賞を受賞できてわが国はできないのか


漢字のみの中国言語は致命的な欠陥言語だ
中国はすべて漢字表記だから、覚える漢字が多すぎてそっちに時間を大量にとられて学問にまわす時間がない。

要するに大量な漢字を単に覚えさせるだけに子供の成長が費やされ、会話の発達が遅れ
高度理論の展開など更々不可能にしてしまうのだ。
無駄に大量な漢字を覚えさせることで多くの脳の記憶領域を費やしてしまい、一番重要な
創造的な超高度理論を発展する頭脳領域の余裕などなくなるのだ。

 

この致命的な欠陥を見事に解決したのが日本語である。日本人が開発した「ひらがな」は、劣った中国語の致命的な欠陥を完全に解決したのである

 


併せて読みたい

 

ことばと文化 (岩波新書) 1973/鈴木 孝夫 (著)

鈴木/孝夫
1926年東京に生まれる。1947年慶応義塾大学医学部予科卒業、1950年同大学文学部卒業。専攻は言語社会学。現在、慶応義塾大学名誉教授


閉された言語・日本語の世界【増補新版】 (新潮選書) 2017/鈴木 孝夫 (著)

日本語を考えることは、日本人を論じること。知的発見に満ちたロングセラー。日本語が、世界に稀な特徴を持っていることを知っていますか? 日本語を話す人=日本人という事実上の単一言語国家であり、侵略された経験がない日本人は、いかなる言語を育んできたのか。言語社会学の第一人者が、言葉と文化への深い洞察をもとに、日本語観、外国観、そして私たちの自己像を考える。時代を経ても色褪せぬ論考。


日本人はなぜ日本を愛せないのか (新潮選書) 2005/鈴木 孝夫 (著)